様々な国や地域での色彩調査はどんなに疲れていてももう少し歩いてみよう、と思わせてくれる、探求心の源でもあります。
近年気になっているのはまちなかのシェア・サイクル。都市の新しい『色の要素』あり、見かける度についカメラを向けてしまいます。
May 2014, ジャカルタ・コタ駅前の広場 |
こういう時、例え借りなくとも『さて何色にしようかな』と必ず考えてしまいます。
コタ駅は1870年、現在歴史博物館となっている旧市庁舎は1627年にオランダ人によって建設されたそうです。真っ白な外壁とグリーンの建具は、オランダ統治時代の名残を感じさせます。
May 2014, ジャカルタ・歴史博物館(旧市庁舎) |
駅の白い外壁を背に、カラフルな色が観光地らしい賑わいをつくり出しています。
July 2013, 浙江省温州市 |
July 2012, 金沢 |
May 2013, パリ市内 ©Aya Yoda |
May 2013, パリ市内 ©Aya Yoda |
群としてのまとまりが生まれていること、そして何より背景との関係性により存在感が際立っています。パリの場合、一枚目の写真は背後に沢山の色があります。対比により、手前にある自転車の色が引き立って見える効果が表れている、と言えるでしょう。
一方下の写真は、背後の建物はガラス貼り、周辺一帯もニュートラルで都市的な雰囲気です。まちの色が整った中で見ると、穏やかな低彩度色でも十分な視認性を持つ、ということが言えると思います。
こうした新しい要素の色を決める(考える)際、様々な選定、決定の要因があることと思います。目立つことで積極的な利用を促す、派手な色を用いることで盗難を防ぐ、まちのシンボルカラーを展開する…。
こうした要素を見比べていると、つくづく色はサインだなと感じます。都市の中で色はいつも何らかのメッセージを発しています。旅人の視点としては、カラフルなものもシックなものも、どちらにもそれぞれ魅力があります。自由に選べるという楽しさ・イベント性。あくまで機能に徹し、歴史あるまちなみと同じように環境の中で地となる色…。
電動シェア・サイクルは時代の要請によって出現してきた都市の新しい機能です。目的に併せ、あるいは地域の文化に併せ色を展開することが出来るという状況はとても贅沢なことだな、としみじみ考えています。
状況が様々にあることの良さ。パリには恐らく他にも『選ぶのが楽しくなる色』がまちに溢れていて、新しい要素に頼らずとも済むのかも知れません。
単体で考えない、この視点も重要なのだと感じます。