たまには、いきなり結論から参ります。
かたちや空間に色を与えることは、空間や環境認知の手がかりをつくるためではないか、と思うのです。
とあるプロジェクトの会議の際、設計者の方から「そういえば、東雲にカラフルな天井ありましたよね」と言われ、確か写真を撮っていたなと思い探したところ、ありました、ちゃんと。
東雲キャナルコートCODAN・3街区 |
東雲キャナルコートCODAN、ご存知の方も多いことでしょう。平成15年~17年にかけて竣工とありますから、かれこれ12~14年が経過しています。
「住むことをデザインする」をコンセプトにつくられた新しい都市型住宅には、様々なアイデアや実験的な試みが盛り込まれています。
建築的なあれこれは、専門の方にお譲りするとして…。
主に素材(色)がファサードの構成要素となっている中、この街区を歩いているとそこかしこにカラフルな色が見え隠れしていることに気が付きます。中でも自身が最も印象的だったのは3街区(基本設計:隈研吾建築都市設計事務所、実施設計・施工:アール・アイ・エー、前田・間・長谷工建設工事 共同企業体)の「ヴォイド」と呼ばれるコモンスペース(共用空間)の配色です。
例えば、エントランス部分、吹抜け空間にはモザイクパターンが展開され、壁や天井に多色が配されています。光と風をふんだんに取り込むためのヴォイド/吹抜け空間の演出ということを考える時、この配色が奥へ向かうほど暗さを増していくさま(奥行感)が色彩により強調されていたり、庇を通して差し込む陽射しにより色の濃淡が変化し、より印象的なコントラストを生みだしたりしている様子が見て取れます。
(…2009年時には分析する力が乏しく、とてもこういう表現はできなかったなあ、と思いつつ。)
モザイクパターンと影のパターンが重なりあい、多様な景色が描かれています。 |
もちろん、白一色の空間でも同じような効果は体験できるはずです。でも色彩があることで強調されたり、より印象に感じられたりする―。
かたちや空間と色彩が合いまる(=互いに効果を与え合う)ことで、かたちや空間の特性がより明確に=認知のための手がかりとなるのではないかということを考えながら、検証と実践を繰り返して行きたいと考えています。
もちろん、その手掛かりが余計なお世話、になる可能性にも充分配慮しながら。