個と群。単体の配色は考えられても、それが集合した場合となると、多くの設計者が頭を抱える様子をこれまで目の当たりにしてきました。
最も難しい点は「統一感と多様性」のバランスをどう考えるか、ということなのだと思います。
規模や形状・素材・地域の雰囲気…等々、その問いを解くためのフィルターの「目の粗さ」はプロジェクト毎に異なりますが、今回はごく簡単な・入口としての方法論を2つ紹介したいと思います。
1つめはゲシュタルト心理学の類同の要因を応用するものです。写真の2段目にあるように、例えば団地の配棟には様々なタイプがあります。大規模な団地になると、敷地内を幹線道路が貫通していたり、計画的にプレイロットや散策路が配置されているタイプも少なくありません。
こうした配棟の特性(街区ごとのまとまりや住棟の規模等)から「類似の要因」を読み取り、それを手がかりに配色を行うという方法が考えられます。
ゲシュタルト心理学・類同の要因 |
上の図、A~Cは類同の要因の解説です。AとBは同じ形状・間隔で帯を並べていますが、Bは一部の配色に変化を付け、2本ずつ黒を配しました。
Dはそのまとまった印象が形成されやすいという特性を用いて、グルーピングしたまとまりの中で更に色を使い分けてみた例です。Googleで検索した団地の配置図を見てわかるように、住棟数が多い団地を全て1色ないし2色で分ける、ということはまとまった印象をつくることは可能ですが、アイレベル(近景)での変化に乏しく、単調な印象になる恐れがあります。
『住棟の形態や配置に何らかのまとまりが見い出すことができれば、類似の範囲内で異なる配色を展開してもそのまとまりは崩れない。』これが1つ目の考え方です。ちなみにこの図の場合は暖色系のYR(イエローレッド)系とY(イエロー)系の濃淡4色を用いています。
実際、高齢化の進む団地等からは「どの棟も同じ色だと自分が住む住棟がわかりにくい」といった声も聞こえてきます。全体の統一感を担保しつつ、中景・近景レベルで認識される変化をつくっていく。形態が近似している団地の改修では、こうした要望が多く出されます。
2つ目は配置が均質で変化が少ない(グルーピングがしにくい)場合。郊外の建売分譲住宅等、近年は様々な工夫がなされ、単調な印象が和らいだように見受けられるものの、災害公営住宅等、緊急を要しかつ「公平性のために均等であること」が前提となる計画では、単調な配置になってしまうことが否めません。
その点に関してもいくつか相談を受けたり、整備のためのガイドライン等に協力したりということはあるのですが、やはり最終的に「決める」あるいは「選ぶ」際に、有効な手法が展開されることが望ましい、と考えています。
数学の4色問題(定理)に習うと、いかなる地図も隣接する領域が異なる色になるようにするには、4色(パターン)あれば十分である、ということになります。
この考え方(配棟配色)は私達もこれまで数多くのプロジェクトで実践して来ました。4色を同一色相にし濃淡だけで変化をつくる、あるいは4つの色相でトーン(色の調子)を揃え、色味の違いで変化を出す。いずれも4色(パターン)を設定する時に色彩調和(何がしかの要素を揃える)を意識しておけば、全体の統一感を保ちながら、適度な変化をつくることが可能です。
特に単調な配置の場合、濃淡に変化をつけると奥行き感(濃色が後退し、淡色が進出しやすい、という特性から)が生まれ、単調な印象の緩和に役立つ、という効果が期待できます。
こういうアースカラーは嫌だとか、はさておき。
例えば全てを白で統一し全体をフラットに扱う、あるいは統一することで1つのまちのような印象をつくる、といった手法もあることでしょう。しかしながら、先に述べたように特に古い団地の場合は住棟の形状に変化が少ない場合が多く、全てが同色だと空間の特性が把握しづらい(=全てが地になりすぎてしまう)という懸念があります。
4色(パターン)の組み合わせすら、無限です。対象の規模や形態、周辺の環境、周辺からの見え方…。実際には様々な検証を行い、使用色を絞り込んで行きますが、まずは2つの方法論を理解して頂ければ、と思う次第です。
この場合「いくつかの刺激がある時、同類のものがまとまりやすい」というゲシュタルトの特性から、黒色の帯2本が1つのまとまりとして認識されやすくなります。
Cはその傾向に添って、色同士のまとまりに従い、それぞれ距離を近づけることによりグルーピングを強化してみたものです。配置と色が合致することにより、まとまった印象がより強化されることがわかると思います。
Google(C) 「団地 配置図」で検索した結果 |
Dはそのまとまった印象が形成されやすいという特性を用いて、グルーピングしたまとまりの中で更に色を使い分けてみた例です。Googleで検索した団地の配置図を見てわかるように、住棟数が多い団地を全て1色ないし2色で分ける、ということはまとまった印象をつくることは可能ですが、アイレベル(近景)での変化に乏しく、単調な印象になる恐れがあります。
『住棟の形態や配置に何らかのまとまりが見い出すことができれば、類似の範囲内で異なる配色を展開してもそのまとまりは崩れない。』これが1つ目の考え方です。ちなみにこの図の場合は暖色系のYR(イエローレッド)系とY(イエロー)系の濃淡4色を用いています。
実際、高齢化の進む団地等からは「どの棟も同じ色だと自分が住む住棟がわかりにくい」といった声も聞こえてきます。全体の統一感を担保しつつ、中景・近景レベルで認識される変化をつくっていく。形態が近似している団地の改修では、こうした要望が多く出されます。
2つ目は配置が均質で変化が少ない(グルーピングがしにくい)場合。郊外の建売分譲住宅等、近年は様々な工夫がなされ、単調な印象が和らいだように見受けられるものの、災害公営住宅等、緊急を要しかつ「公平性のために均等であること」が前提となる計画では、単調な配置になってしまうことが否めません。
その点に関してもいくつか相談を受けたり、整備のためのガイドライン等に協力したりということはあるのですが、やはり最終的に「決める」あるいは「選ぶ」際に、有効な手法が展開されることが望ましい、と考えています。
数学の4色問題(定理)に習うと、いかなる地図も隣接する領域が異なる色になるようにするには、4色(パターン)あれば十分である、ということになります。
最低4色で隣同士・正対面同士を同色にせず、多様性をつくることが可能 |
この考え方(配棟配色)は私達もこれまで数多くのプロジェクトで実践して来ました。4色を同一色相にし濃淡だけで変化をつくる、あるいは4つの色相でトーン(色の調子)を揃え、色味の違いで変化を出す。いずれも4色(パターン)を設定する時に色彩調和(何がしかの要素を揃える)を意識しておけば、全体の統一感を保ちながら、適度な変化をつくることが可能です。
特に単調な配置の場合、濃淡に変化をつけると奥行き感(濃色が後退し、淡色が進出しやすい、という特性から)が生まれ、単調な印象の緩和に役立つ、という効果が期待できます。
こういうアースカラーは嫌だとか、はさておき。
例えば全てを白で統一し全体をフラットに扱う、あるいは統一することで1つのまちのような印象をつくる、といった手法もあることでしょう。しかしながら、先に述べたように特に古い団地の場合は住棟の形状に変化が少ない場合が多く、全てが同色だと空間の特性が把握しづらい(=全てが地になりすぎてしまう)という懸念があります。
4色(パターン)の組み合わせすら、無限です。対象の規模や形態、周辺の環境、周辺からの見え方…。実際には様々な検証を行い、使用色を絞り込んで行きますが、まずは2つの方法論を理解して頂ければ、と思う次第です。
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