2012年5月16日水曜日

色彩調整の考え方・表し方

先日、小雨の中訪れた御殿場とらやの入口部分です。御殿場東山ミュージアムパークの中にあるため、入口には写真のような案内サインが設置されていました。
盤の色はダークブラウン(10YRでした!)に白抜き文字とその反転。いずれも視認性が高いにも係わらず、盤自体の高さが抑えられているためとても落ち着いた印象でした。

施設へのアプローチ部分から風情たっぷり、散策への期待が益々高まる一方、こうした時にどうしても気になってしまうのが周辺の設備などの色です。

気になり出すと、何とかできないものかとつい考えてしまいます

舗道にある上下水道等の埋設物の蓋の色、ブルーの彩度が高く目立っていました(気にしすぎ?)。設計の際にはこうした設備がどの位置に出現するか慎重に検証を行うものですが、公共の設備はメンテナンスの観点からすると“よく目立つわかりやすい位置に”設置されることが多く、せめて色を、と思っても融通が効かない場合が殆どです。

いつだったか、自信が計画に携わった集合住宅のメインエントランスの前に鮮やかな黄色の蓋(確か消防関係)が設置され、何とかできないものか必死に協議をした記憶がありますが、管理者には聞き入れてもらえませんでした。

市街地などでは気にならない色も、周辺が自然環境である場合や低彩度色でまとまった環境の場合は人工物の色が対比的によく目立つ状況になります。何が何でも、鮮やかな色が良くないというわけではもちろんなく、やはり周囲の状況に併せて変化を付ける(=見え方をコントロールする)ことが何とかできないものか、といつも考えています。

蓋の色を落ち着いたブラウンにしてみると…
最近、修景に関してはもっぱらphotoshopを使った簡単なカラーシミュレーションの作成に励んでいます。百聞は一見にしかず、ということで、何を・どのように調整すればその場の課題が解決され、より快適な雰囲気になるか。改善後の様子を見るとあっさり納得を得られる場合もあります(毎回うまくいくとは限りませんが…)。

視覚・知覚の問題ですから、そこに訴えかけられるような効果を如何にして生み出すか、という工夫を日々繰り返しています。

管理や保全等、立場が違えば色の考え方も自ずと異なります。それぞれの“ねらい”を充分に理解した上で、各機関に納得を得られかつ景観的にも違和感がない、という“おとしどころ”を探って行くこと。環境色彩デザインの得意とする部分のひとつであると考えています。

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自己紹介

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色彩計画家/環境色彩デザイン/いろでまちをつなぐ/MATECO代表/色彩の現象性/まちあるき/ART/武蔵野美術大学・静岡文化芸術大学非常勤講師/港区・山梨県・八王子市景観アドバイザー/10YRCLUB/箱好き/土のコレクション/舟越桂