まちなみ形成に関していえば欧州や欧米の成功事例はもうたくさん、事情が違う、歴史が違う、まちの成り立ちが違う=日本の(アジアの)参考にはならない…。
私自身もこれまで様々なシンポジウムや講演会等でそのように感じたことは数多くあり、ある時期からは『もう充分かな、もっともっと具体的な解決策を提示していかないと』と考えるようになりました。
(最近はその反動もあり、また色々なシンポジウム等にも参加する機会が増えつつありますが…。)
近年は国内の調査や中国へ行く機会が増え、改めて独自の方法論やシステムを確立しなければならない、と試行錯誤を繰り返していますが、そもそも環境色彩デザインの革新ってどういうことだろう?と立ち止まることがしばしばあります。
先月、山梨の甲州市へ調査に行った際のこと。ワインツーリズム等で脚光を浴びている地ですが、ほぼ下戸な私はあまりワイン事情に詳しくなく、日本のワイナリーがどのようなものなのかきちんとした知識を持っていませんでした。
facebookに『トスカーナに来ました』というメッセージと共にupした画像。…信じてくれた知人がいました。 |
上の写真3点、勝沼ワイン醸造所にて。 |
びっしりとツタに覆われた外観。 |
穏やかな色合いの看板、近付けば視認性は充分です。 |
蔵を移築して造られたワインショップ。手前は広い駐車場、自然素材で舗装されていました。 |
こちらも同じくfacebookにupしたところ、建築設計を専門としている友人が『これだけ植物に覆われていれば、室内の温度・湿度はきっとワインに最適な状態に監理できているだろう』というコメントをくれました。
いずれもある部分はヨーロッパの雰囲気を持ちつつも、甲州の地形・気候を始めとする“風土”に根ざした景観が形成されていると感じました。
日本におけるワインづくりは1874年に山梨県で始まったと言われています。約140年の歴史を持っており、世界と比べれば歴史は浅いものの、風土から生まれる個性を『産地を味わう』ことを愉しむことを目指し、地域の生産や食文化を育みながらワイン製造が続けられてきたそうです。
…ここで冒頭の“イノベーション(革新)”に戻ります。
140年という時間の流れの中で、ゆっくりとその地に根付いてきた日本のワイン、ということを考える時、自身が考えているその地らしさのある色彩デザインも突如夜明けが来るわけではなく、まだまだ日々コツコツと積み上げて行かなくてはならいものなのかも知れない、と考えています。
今まさに革新が求められるタイミング(というよりもかなり切実な時代の要請)であることは間違いないですし、革新なくして次の段階には進めない、ということも自覚はしています。ですが今一度、その内容とどこに向けて発信をしていくことが一番効果的なのか、CLIMATのスタッフやMATECOのメンバーと共に考え続けて行きたいと思います。
同じく甲州市にて。これをヨシとしてきたことにも、時間が大きく係っていると感じています。 |
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