今年は一層、様々な調整に関わる機会が多く、その度に『根拠のある選定の理由』をきちんと説明すること、そして時間の経過を見据えて判断をすること、を心がけてきました。
まだ解決には至らないことも多くありますが、その中でも次年へ引き続きの課題として何か良好な策を生み出し、実現に向けて動いて行きたいと考えている事案があります。その件については、年末年始、様々な情報や事例を整理した上でここに記載したいと思っています。
下の写真は日本塗料工業会が発行している塗料用色見本帳の2013年度版に掲載されている632色マンセル色度図にプロットしたものです。上段の彩度のグラフを見ると、特に寒色系は彩度3・5が無く、上下(2または4)いずれかに割り振られていることがわかります。
2013年度版の632色をマンセル色度図にプロットしたもの。彩度の偏りが一目でわかります。 |
この色とこの色の間、という指定も可能ですが、そうした中間色や見本帳に無い色の指示は(自身の分野においては)ほとんどの場合通用しなくなってきました。番号に無い色は再現・管理できないというのは思い込みにすぎませんが、やはり手間はかかりますし、場合によってはコストが高くなることもあります。こうした事情を鑑みると、これだけ一般に流通している色見本帳が果たす役割は大きく、その質が日本のまちなみ(の一定の部分を)担っている、と言えるのかも知れません。
2013年度版には屋根用塗料カラーパレット、中国建築用塗料カラーパレットなどが解説と共に掲載されていますが、これをもっと『日本の』建築用に編集し、豊かな低彩度のグラデーションを見やすくしたり、間違いのない色合わせが自然に出来るような構成(配列を変えるだけでも更に見やすくなる)を検討してみたいと思っています。
もちろん、こうした色見本帳に頼らず、独自に調合をし何度も色見本で検証し、素晴らしい色彩空間をつくりだしている建築家も数多くいらっしゃいます。施主と直接話をする、或は現場を監理する立場であればそのようなやり方は可能ですし、私達も事情が許せば、あるいはどうしても見本帳の色番では不具合が大きく、また他への影響が大きすぎると懸念される場合は、そのような方法をとっています。
今年最も印象的だった身近な方の言葉に『どこまで本気か』という一言があるのですが、そこはまさに、『本気さが問われる』ということになるでしょう。
しかし日常の不具合はアドバイスの場面や(間に様々な人や部署が介在する)、既に大方の要素が決まってしまった段階で、部分的な調整に携わらなくてはならない場合等に生じます。常に自身が全ての決定・管理に携われるわけではないということを考えると、広く流通しているシステムを有効に活用することに(まずは)ベストを尽くすべきだと思っています。
色は無限とわかっていながら、632色の中から選定しなくてはならないという現実。色見本帳に掲載する色を選定している側に訴えかける、等の方法があるかも知れません。
一方、自身はコンクリート打ち放し色の測色等を続けていますが、実務に携わる立場からそうした現代の建築と相性の良い色やスケールや距離の変化に応じられる色等、『勝手に推奨色セット』をつくってみてはどうかと考えています。色々な建築家の方に『よく使う色』を伺ってみるのも面白そうです(日○工の色見本帳なんか使うかっ!って怒られたりして…)。
2014年も自分に出来ること・自分ならではのやり方を考えながら、素材と色彩・まちとまちなみについて、色々なチャレンジをして行こうと思います。
皆さま、どうか良いお年を。
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