2015年4月13日月曜日

スリランカの白について

年度末のあれこれをぶっちぎり(関係者の皆様、色々とご迷惑をお掛けいたしまして本当に申し訳ありませんでした)、スリランカに行ってきました。
忘れないうちに、と思いつつ早くも一週間が経過してしまいました。

まずは日頃から気になっている、白についてのあれこれ。

学校の制服は白。
カラフルな街並みの中で、白い制服を着た生徒さんを沢山見かけました。赤い大地や強い日差しと褐色の肌色に映え、白が一層軽やかに見えました。スリランカにおける白は仏教徒の儀礼の中で伝統的に、象徴色として扱われてきた側面があるようです。
冠婚葬祭に使えるように、ということで制服に白が用いられているのだとか。

世界遺産、ゴール旧市街で見かけた白い壁。
海外に出かけると日差しが色の見え方の質を決めている、と感じます。白い外装は日本で見ると儚げでどこか頼りないような印象を受けることが多いのですが、日差しの強い地域では強烈な光を受け止める強靭さ、塗膜のテクスチャー等よりも分厚い壁そのものが前面に出てきているように感じます。

旧ゴール市街で見かけたレストラン。…左も十分白いと思いますが、右の色に改装中でした。
4泊目に宿泊したJetwing Lighthouse。回廊の柱の色が、対面する白い柱に映り込んでいました。
回廊の全景。
4泊、全てジェフェリー・バワ氏設計のホテルに宿泊しましたが、鮮やかな彩色とおおらかな空間構成が大変印象的で、どのホテルもとても個性的でした。各所の色彩が印象的な分、白い壁の効果(単なる余白ではなく)や周辺の環境や色との対峙がよく(しっかりと)見える点が大変興味深く、奥行きがあって飽きの来ない白だと感じました。
(…決して日本の白が単調で奥行きが無い、と言いたいわけではありません。)

Jetwing Lighthouseは比較的初期の作品とのことで、今回宿泊した4つのホテルや他施設の中では最もカラフルでカジュアルな雰囲気でした。同じ水辺のホテルでも初日に宿泊したJetwing Lagoonはかなりシックな雰囲気でしたし、外観・共用部のみならずスイートルームまで見学することができたAVANI BENTOTAは赤と紫がテーマカラーとなっていて、明確な基調色の存在とそれを引き立てる素材やアクセントカラーの使い方は日本でも様々に応用することができると考えています。

同ホテルのプライベートビーチ。
波に洗われた白。
一口に白、といっても様々な状態・現象があります。あらゆる喧噪や情報、環境からさえも逃れるための白ではなく、他の色やマテリアルを生かす・引き立てる、更に対峙して色味をまとう白…。
果たしてスリランカの白に力強さを感じるのは日差しのせいだけなのか。引き続き、様々な検証を続けて行きたいと思います。

市内を走るトゥクトゥクは総じてカラフルでしたが、旧ゴール市街では白バージョンも見かけました。
犬は皆痩せていて、暑さでバテバテのご様子でした。





自己紹介

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色彩計画家/環境色彩デザイン/いろでまちをつなぐ/MATECO代表/色彩の現象性/まちあるき/ART/武蔵野美術大学・静岡文化芸術大学非常勤講師/港区・山梨県・八王子市景観アドバイザー/10YRCLUB/箱好き/土のコレクション/舟越桂